住宅取得等資金の贈与税非課税措置を利用して相続対策

住宅やマンションを購入したり、中古住宅をリフォームを行う場合、親や祖父母から住宅資金として援助を受けるのであれば一定の条件を満たすことで贈与税の非課税枠を使うことができるようになります。この制度を利用すれば生前の相続対策としても活用することができますが、適用条件や注意点などについて解説しています。

不動産を購入する際に相続対策

居住用の不動産(住宅やマンション)を新築したり中古物件の購入、リフォームなどのための資金を父母や祖父母(直系尊属)から贈与を受けた場合、一定の金額までについては贈与税が非課税となります。この一定の金額は取得する住宅の性能や不動産売買の契約年によっても異なります。(※非課税枠を参照

この制度を活用した場合に具体的にどれぐらいの節税効果が生まれるのか見ていきましょう。親が一人、子供が二人の家族において、親が資産として1億円の資産を持っていたとします。相続税の基礎控除は3,000万円、相続人が二人なので1,200万円、合計で4,200万円の相続控除があります。相続税は残りの5,800万円に対して課税されることになります。

もし子供のうちの一人が親が生きているうちに居住用不動産購入のための資金援助として1,200万円を受けたとします。そうすれば親の資産は8,800万円となり、4,200万円の相続こうじょを引いた4,600万円に対して相続税が課されることになります。相続税は累進課税となっているため、課税対象額が大きいほど税率も上がります。そのため少しでも課税対象額を減らしておくように生前の相続対策を行っておくとお得です。

非課税枠について

契約年 消費税10% 消費税10%以外の方
質の高い住宅 一般住宅 質の高い住宅 一般住宅
平成27年 1,500万円 1,000万円
平成28年1月~31年3月 1,200万円 700万円
平成31年4月~32年3月 3,000万円 2.500万円 1,200万円 700万円
平成32年4月~33年3月 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
平成33年4月~33年12月 1,200万円 700万円 800万円 300万円

贈与税の非課税枠については「質の高い住宅」か「それ以外の一般住宅」かによって異なります。質の高い住宅とは「1.省エネルギー性の高い住宅(断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上)」「2.耐震性の高い住宅(耐震等級2以上または免震建築物)」「3.バリアフリー性の高い住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)」の条件を満たした住宅のことです。より多くの非課税枠を利用したいのであれば1~3のいずれかの条件を満たした不動産を購入、新築またはリフォームで条件を満たすことが必要です。また東日本大震災の被災者に対しては非課税枠が増える優遇措置もあります。

非課税措置を利用する際の注意点

この非課税措置を受けるためには、以下の条件を満たすことが必要となるので注意が必要です。

  • 贈与を受ける人が満20歳以上で、所得が2,000万円以下であること
  • 自ら所有して居住する住宅であること → 誰かに貸したりするのはNG
  • 増改築後の床面積が50㎡~240㎡であること → 小さすぎたり大きすぎたりする不動産はNG
  • 床面積の1/2以上が居住用に使用されていること → 店舗や会社などに利用される床面積が半分を超えないこと

また中古住宅を取得する場合の建物の条件は以下のようになります。6親等以内の親族から不動産を購入する場合は適用を受けられないこともあるので税務署または税理士に一度相談されることをおすすめします。

  • 1.築25年以内の耐火建築物
  • 2.築20年以内の建物
  • 3.1、2に当てはまらない建物は耐震基準を満たしていること
  • 4.現行の耐震基準に適合しない中古住宅は、手続きと書類によって耐震基準を満たしていることを証明すること

さらに先ほどの例で考えるともう一人の子供は生前贈与として何も受けとっていないことになります。相続時に遺産争いにならないためにも、居住用の不動産取得のための援助を受ける場合は、親や他の相続人と贈与額についてよく話し合っておく必要があります。

参考ページ
・三井不動産リアルティ株式会社:「相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税制度